テーマとコンセプト

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「テーマ」と「コンセプト」という用語は
ファッションの世界では「コレクションテーマ」や「ブランドコンセプト」
といった使われ方をしています。


基本的にブランドコンセプトは一貫しており
そこから派生する形でコレクションテーマが生まれるという構図です。


例えばフセインチャラヤンでいえば(そんなに詳しくないので間違っていたらすみません)
「CDプレーヤーが収納できる服」や「郵送できる服」というコレクションテーマがあり
「テクノロジーが進化していく社会で人間はどのように生きていくことができるかを服を通して表現する」という
ブランドコンセプト(或いは複数のコレクションテーマにまたがる上位のコンセプト)があるわけです。


東京コレクション進出当初のナンバーナインラフシモンズとの類似性を指摘され非難されたのも
このコンセプトの有無が原因だったと思います。


毎シーズン、ロックミュージシャンやアーティストの楽曲を
コレクションテーマにしていたナンバーナイン
「では、その複数のコレクションに共通するブランドコンセプトは何か。」
という問いに(少なくとも僕は)明確な答えが見つけられなかった。
共通項は「ロックっぽい」や「ロック好き」でしたが
それは趣味嗜好であってコンセプトではありません。
ありきたりですが「ロックの持つ反骨精神を表現する」ならコンセプトだと思いますが。
対してラフシモンズ
「ロック好きの少年が持つイノセントなスピリットへの憧憬」
というコンセプトがあったように思います。


マルジェラはデビューコレクションから5年後に
5年分のコレクションを回顧するコレクションを行いました。
これは複数のコレクションテーマをまとめて
ブランドコンセプトをより明確に提示しようとする試みであったと理解しています
(めまぐるしく変遷するモードへのアンチテーゼという意味合いもあったと思いますが)。


これをするのはかなり勇気がいることだと思います。
今までのコレクションテーマに一貫して流れてきた通奏低音
つまりブランドの提示するコンセプトがなければ
回顧コレクションを開いても
「ああ、あったよね、そういうのも。」で終わってしまうわけですから。
明確かつ強固な問題意識(コンセプト)をもって各コレクションに臨んでいなければなりません。


さて、ではマルジェラの直近の5年間のコレクションを集めて
回顧コレクションを実施することは可能でしょうか。
そこからブランドコンセプトは読み取れるでしょうか。
ちょっと疑問です。


以前、メンズの回顧展が行われましたが
あれは「過去のコレクションから白い服を集めた」回顧展でした。
白い服を回顧するわけでブランドコンセプトを回顧するわけではなかった。
メンズライン(特に10)はコマーシャルラインとしての意味合いが強いので
これは仕方ないと思います。
残念ではありますが。
また、0や010、14はラインの存在自体がコンセプトなので
これはこれでいい気がします。


コンセプトを身に纏うことができて
しかも(主に主観的にですが)格好いい。
僕が服を好きな理由の一つです。


どこかにいい服ありませんか?



追記

以上の記事を書いてから知ったのですが
いつもお世話になっているchandernagor82さんのブログに
近年のマルジェラのコレクションラインと
デヴィッド・ボウイのファッションとの関係が示されていました。
非常にわかりやすくすばらしい記事なので
興味のある方は是非ご覧下さい。

近年のマルジェラの複数のコレクションにまたがる上位コンセプトは
デヴィッド・ボウイなのでしょうか。
ただ、それだけだと単なるコスプレなので
その先に何かがあるのでしょうか。
デヴィッド・ボウイに詳しくないので何とも。。。

以下、勝手ながらリンクを貼らせて頂きます。
http://blogs.yahoo.co.jp/chandernagor82/3127667.html
http://blogs.yahoo.co.jp/chandernagor82/3127212.html
http://blogs.yahoo.co.jp/chandernagor82/3126764.html