ファッションのボーダーレス化

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パリメンズコレクションが続々と発表されています。
あとしばらくしたらマルジェラの新作も発表されることになっています。

今のところ、コレクションを見ていて僕が気になるのは
今シーズンのトレンド云々よりも
コレクションに起用されているモデルの多様さです。

子どもから初老の男性まで様々な年代のモデルを起用したジャンポールゴルチェ、
黒人モデルをショーの冒頭で多用したジバンシィ
人種、年代ともに様々なモデルを起用したアダムキメルが特に象徴的だったと思うのですが、
今シーズンはいつになく多様なモデルが起用されているように感じました。

ファッションのボーダーレス化は今までに何度も指摘されています。
エスニックテイストを取り入れて地理的なボーダーを取り除いた過去のコレクションは
枚挙に暇がありませんし
本来人目に触れることのないはずの下着を前面に押し出した
ゴルチェのコレクションもボーダーレス化の一つと言えると思います。
また、記憶に新しいところでは、男性にスカートを履かせることで
ジェンダーというボーダーを取り除いたギャルソンのコレクションなどもありました
(同じような取り組みは他にも多くのブランドが行っています)。

しかし、それらの多くは
服自体とそれに付随する文化的背景のボーダーレス化を目指したものだったと思います。

時にフセインチャラヤンなどが身体障害者をモデルに起用したりして
(それが起用の真意だったかは別としても)モデルのボーダーレス化に取り組んできたりもしましたが
あくまでそれは一部のデザイナーによる前衛的な試みであったと思います。

しかし今シーズンのコレクションでは当たり前のように
複数のコレクションで多様なモデルが登場しており、
モデルの起用においてもボーダーレス化が普及してきたことを実感させられました。

多様なモデルが起用されるようになった背景には
ファッション市場自体がグローバル化したために
様々な市場を想定してモデル起用を行う必要が出てきたことも影響しているのだと思います。

ボーダーレス化は最終的には物事を均一化・標準化すると言われていますが
少なくとも現状では、起用されるモデルの多様化は
コレクションにおける表現の幅を拡げているように思われます。

今後、モデル起用も含めてファッションがどのようにボーダーレス化し、
それが結果的に、ファッションの均一化を招くのか、はたまた個性の成熟を助長するのか、
非常に興味深いところです。