バイヤーの視点から

自己満足になってしまいますが、先日アップした
「すぐれものぞと町中騒ぐ、マルタンマルジェラとは何者か?」
http://blogs.yahoo.co.jp/margielamarni/34188443.html
http://blogs.yahoo.co.jp/margielamarni/34191607.html
というエントリーが自分では結構気に入っています。

マルジェラの服作りに対する姿勢をよく表した文章だなあと。
いや、僕は訳しただけなのですが(^^;

そして、今日ご紹介するのは
国内におけるマルジェラを語るときに欠かすことのできない、
仙台レクルールの安藤社長(当時?)が、花椿に語った99年のインタビューです。

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最初にマルジェラのショーを見た時は、鳥肌が立ちました。
ザワッときましたよ。何なんだこの服は、って。
だって90年代初頭の、こんなの着れないよ、っていうような
ハイテク素材ばっかり出ていたころですから。
そんな時代に天然素材です。
古着を加工して、ペインティングして売ってるなんて!
でも日本人もヴィンテージ好きだし、理解できた。
絶対うちで売りたいって、日本地図の仙台のところに印をつけてパリに持っていきました。

思い出深いのは94-95年のドールコレクション。
日本人のスタイルにぴったりでしょ。
ウールのツインニットなんて男の子にも女の子にも合うし、
スカートでもデニムでもいい。
この時のジャケットって、襟のつけ根に穴があいてるんだよね。
実際、お人形の服って、襟のところが小さすぎて縫えなかったんだって。
それをそのまま再現した。ボタンの穴まで拡大しちゃう。

昔やったことを繰り返しだしてくるっていうのは、ちゃんと自分で考えてるからでしょうね。
人の真似して作ってるなら簡単に移れるけど、
自分が色々考えたものだと、
それをかなぐりすててすぐに次にはいけない。

マルジェラのすごいところは、3年前のものと新しいシーズンのものを、
安心してコーディネートできること。
流行だけで買うんじゃないっていう洋服への姿勢を浸透させた。
長く着られて、着ていてもあきない。
古いものほどよくなる。
毎日着て、着つぶすっていう感覚があるんです。
時間がない朝に、ワードローブのなかで手が伸びるのはきっと、
マルジェラの服でしょうね。

ぱっと着て雰囲気が出せる。
どこの国のどんな街にも似合う。
素材も男っぽいし、身体も露出しないのに、
マルジェラを着ている人って、なぜか、女っぽい。
さりげなくかっこいいんです。
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「すぐれものぞと町中騒ぐ、マルタンマルジェラとは何者か?」が
ジャーナリストの視点からマルジェラ像に迫ったものなら
こちらはバイヤーの視点から見たマルジェラ像。
より消費者である我々(と一括りにすると怒られそうですが)の視点に近い気がします。