マルタンマルジェラ ⑩ カメラ転写シャツ

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こちらはマルタンマルジェラ05AWのカメラ転写シャツになります。
雑誌でも数多く掲載されたこと、
同シーズンのヘッドフォンが転写されたシャツを
有名サッカー選手がCMで着用したこと
などからこのシャツは非常に人気がありました。
今でもヤフオクで定価前後で取引されているようです。

こちらのシャツはこれ以降の転写シャツと比べると
ゆったりとしたシルエットになっています。
タグはほつれたので取ってしまいました。

みもふたもない言い方をしてしまえば
転写シャツは白いシャツにプリントを施しただけのシャツです。
転写プリントは何をプリントするかが
デザイナーのセンスが問われる部分であり
そのシャツの魅力を規定する大きな要素です。
言ってみれば転写シャツはアイディア勝負の商品なのです。

その人気とデザインのシンプルさから
このシーズン頃からマルジェラの転写シャツの偽物が
多く出回るようになりました。

ブランド品の偽物と言えば
古くはエイプ、アンダーカバー、GDCなど裏原系の商品
(いまや裏原系という言葉も死語ですが。ナンバーナインの偽者も多かった)
が一時期かなり出回りました。
しかし、裏原系ブームが過ぎ去った後は
一部メガブランドの偽物を除けば
若者向けの偽物を見かける機会は減少していたと思います。

しかし最近ディオールオム、クリスヴァンアッシュマルタンマルジェラ
ガリアーノオムあたりを中心に
また偽物の流通量が増加してきているように感じます。

マルタンマルジェラの転写シリーズでは
こちらのカメラ転写シャツの他に
ヘッドフォン転写シャツ、
アロハ転写シャツ、
サーフタンクトップ転写タンクトップ(なぜか正規には流通していないTシャツ版も)、
ストールを首からかけている転写シャツ、
ネックレス転写シャツ等の偽物があるようです。

別に偽物でも偽物と知らずに着られるなら
それはそれでいいと思います。
本物は高いから買えないけど
どうしてもあの服がほしい!
少しでも近づきたい!というモチベーションで
偽物を買うなら
それはそれでいいと思います。
ただデザイナーのクリエイティビティに触れたい、
またはその服を購入するという社会行動を通して
デザイナーへの投資を行いたい、
デザイナーと価値観を共有したいと望むなら
偽物を買うことに意味は無いと思います。

この偽物に関する議論は
ヤフオクでブランド物の服を購入することが一般的になってきた現在では
一昔前とはまた違った意味合いを持ってきていると思います。
ヤフオクで服を買ったっていい。だって安いもの。
でもそれはデザイナーへの投資にはなりえず、
デザイナーのクリエイションを支持する行為としては十分ではありません。
社会の中でアートをどう位置づけ、どう支持していくのか。
我々の行為は社会から自由にはなりえません。
自己の行動に責任を持つためにまず、
自己の行動に意識的であることが必要なのではないでしょうか。