Maison Martin Margiela with H&Mと本家のペンキブーツを比較

11月15日に発売されたMaison Martin Margiela with H&M(以下、H&Mコラボと表記します)。
行列に参加する気になれなかったので様子を見ていましたが
海外在住の方のご好意で入手することができました。

各アイテムの写真は多く出回っているので
このブログではH&Mコラボの商品と本家の違いを比較してみたいと思います。

とりあげるのはペンキブーツ。

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左がH&Mコラボ、右が本家です。

ぱっと見で気づくのが形の違いです。

それもそのはず、元ネタになったアイテム名が書いてあるタグを見ると、

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0506awのハンドペイントブーツが元ネタとのこと。
0506は近年定番としてリリースされている細身ブーツが初めて発売されたシーズンです。
対して僕の持っているペンキブーツはそれ以前に定番としてリリースされていたスクエアトゥタイプ。
形が違って当然です。
ただ0506awにペンキで塗られたタイプのブーツ出てましたっけ?


さて、ディテールです。

まずはペンキの質感。

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H&Mコラボのほうは薄め、本家はべったり厚めです。
後者は履き始めてすぐにポロポロペンキが剥がれてきて、足跡がたどれそうなくらいでしたが
前者の方は履き続けてもあまり剥げてこなさそうです。

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さらに縫製を見てみると、
H&Mコラボの方は糸にペンキが乗っていません。

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本家の方は糸にもペンキが乗っています。
刷毛の跡を見ても、本家は製品製造後にペイント、
H&Mコラボの方は生地の段階でペイントしているようです。
ペイント作業が面倒なのは前者のほうでしょう。


ついでコバ。

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H&Mコラボの方は薄めでツルツルと、本家は厚めででこぼこです。
無骨なのが好きな方は本家でしょうけど、
最近のきれいめなスタイルならH&Mコラボの方が使いやすいかもしれません。

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ソールのロゴは結構かっこいいです。


全体を通して見ると、やはり別物だなという印象です。
「過去のマルジェラの商品をH&Mの製造ラインで作ってみた」のではなく、
「過去のマルジェラの商品をアイディアソースにして現代的な要素も加えてH&M風に作りなおした」
という解釈が適切な気がします。

まだ履きこんでいないのでクオリティの正確な評価はできませんが
デザイン料取り過ぎ!というレベルではないと思います。
ただペンキの質感、塗られ方など、褒められるレベルではないのも確かです。
手を抜くところは抜いている。
値段相応のクオリティではないでしょうか。


聞いたところによると今回のコラボ商品は海外では結構売れ残っていて
セールにかかったものも少なくなかったそう。
本家の奇抜なデザインが割りとそのまま生かされていたので
一般受けはしなかったのだと思います。

そこまで惜しげも無く本家のデザインを提供したメゾンマルタンマルジェラのやり方を
デザインの安売りと捉えるか、本家と同じ物は絶対に作れないだろうという矜持と捉えるか
意見の別れるところでしょう。
デザインを安売りしたかどうかは私には判断がつきませんが、
結果的に出来上がったものが本家と同じにはならなかったのは確かなようです。