バカと東大は使いよう

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以前ts_mode_osさんにおすすめいただいた本、
「バカと東大は使いよう」
を今頃になってようやく読みました。

タイトルからして、
「東大生はプライドが高いわりに世間知らずだから
慶応生などに比べると使いにくいけど
基本的に要領はいいからうまくマネジメントしてあげれば戦力になるよ」
というような内容かと思っていたのですが
読んでみると、
「東大をはじめとした日本の教育制度のどこが問題で
これからの高等教育はどうあるべきか。」
という趣旨の本だということがわかりました。

タイトルの「バカと東大は使いよう」ですが
勿論、元ネタは「バカとハサミは使いよう」です。
この元ネタでは
「バカは一見使えなさそうに見えるけどうまく仕事を与えればあまり文句も言わないので便利」
         +
「ハサミは使い方を間違えると危険だが使い方を心得ていればとても便利だ」
         ||
「バカとハサミは使いようによっては便利だ」
ということになっています。

本書の中では
「日本においては東大に象徴される高度な専門技術は使い方によっては危険だが、
倫理やコンプライアンスに基づいて使われれば非常に有益だ」
ということが書かれているので
「使い方によっては危険なものにも便利なものにもなりうる」
という類似性を考えれば、
タイトルは「バカと東大は使いよう」ではなく
むしろ「東大とハサミは使いよう」のほうが正しい気がしました
(まあそうすると「バカ」と「東大」という対比のインパクトがなくなってしまい
本の売れ行きに響くのでしょうが)。


この本に書かれていることほぼすべてに共感したのですが
(その時一番人気のある業種に就職するのはよい選択とは言えない、
凡庸ではなく中庸であることが重要など)、
一番これは!と思ったのは
著者の
「複数の専門領域を結合する学際融合は
複数の学部を統合したような学部の創設(構造改革)によってではなく
個人を単位としてなされるものだ」
という主張でした。

新学部を創設してはみたものの
複数の領域を統合した学問を教えられる人がおらず
結局、複数の専門領域から各分野の専門家を呼んだ結果
学部内で棲み分けがすすんでしまい
全然学際融合にならないという話は比較的よく聞きます。

やはり自分で(できるかどうかは別として)やらないといけないんだなと
最近、疲弊気味だった仕事に対するやる気が湧いてきました。

後半ちょっと話が広がりすぎる感はありますが
とってもいい本だと思うので
興味のある方にはおすすめです。