メゾンマルタンマルジェラ 0910awコレクション

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メゾンマルタンマルジェラの0910awレディスコレクションが発表されました。

コレクション画像は以下のサイトから見ることができます。
http://www.style.com/fashionshows/complete/F2009RTW-MMARGIEL

今回のコレクション、僕は結構好きです。

私見ですが、マルジェラは主に90年代に、
ドールコレクション、オーバーサイズコレクション、平面コレクションなどに代表されるようなコレクションを通して
衣服と身体の関係性を追求してきたと僕は理解しています。
平面の服を立体的な人間の身体に着せると服は、そして人はどう見えるのか。
身体よりも大きな服を着ることで人はどう見えるのか。
人形の服を拡大した服を着ることで人は果たして人形のように見えるのか。
服が人を人らしくするのか、人が服を人らしくするのか。
人の身体は何によって規定されるのかを問い続けてきたのではないかと思っています。

2000年代以降は
「衣服と身体の関係性の追求」から「服のフォルムの追求」へと
重点がシフトしてきたように個人的には感じています。
肩を強調した服やアシンメトリーなデザインの服などがその典型だと思っています。
そしてそのフォルムの変遷をまとめて見せたのが
MOMUでの20周年記念展示であり
昨シーズンの過去のアーカイヴスを基にした20周年記念コレクションだったのではないかと。

そして今回のコレクション。
いくつかテーマはあると思うのですが
僕は「ヌード」が大きなテーマになっていると感じました。
ここ数シーズン継続して見られているヌードカラーの多用。
ボディースーツ。
背中が大きく露出したモデル。
もはや身体を覆わない服。
服の切れ目から覗く肌。


「身体と衣服の関係性」を追求し、
その後「服のフォルム」の可能性を追求したマルジェラが
次に焦点を当てたのは「ヌード=身体そのもの」なのではないかと感じています。
そして、これはある意味、
身体と衣服という分かちがたい両者のうち
近年、衣服側に寄っていたマルジェラの
原点への回帰であり、揺り戻しなのではないかと思っていたりもします。

今回、Style.comのレビューはかつてないほど辛口です。
「今までのような一本芯の通ったマルジェライズムがない」という批判です。
そして、Style.comは過去のマルジェラの魅力を証明する例として
過去数シーズンでマルジェラが発表した誇張されたショルダーラインが
現在多くのデザイナーに踏襲されていることを挙げています。
しかし、そんな表面的なことだけをもってして
クリエイションの質を評価していいのでしょうか。
ドールコレクションやオーバーサイズコレクションが
トレンドと言えるほど多くのデザイナーに踏襲されたでしょうか。
そのような視点からドールコレクションやオーバーサイズコレクションは
現在のような評価を得たのでしょうか。

今回のコレクションが90年代のコレクションほど
知性と思想性に溢れているとは僕は思いません。
ただここ数シーズンのコレクションと比べて見劣りするものではないし、
むしろ今後が楽しみになるコレクションだと思います。

マルジェラの去就騒動という色眼鏡抜きで
コレクション自体を評価してほしいと思います。