インフォームド・コンセント

インフォームド・コンセントという言葉は
「よく説明すること、説明責任を果すこと」
というニュアンスで使われることが多いのですが、
正しくは「説明をした上で同意に至ること」であり
「説明」そのものではなく「同意」を重視する概念です。

ただ、説明する側と説明される側の背景的な基礎知識に大きな差がある場合には
両者がイメージを共有した上で同意に至ることは
現実的には不可能な場合が少なくないため、
インフォームド・コンセントが問題視されるような状況下では
便宜的に「説明が十分であったか」が問われることになります。
こういった背景もあってインフォームド・コンセントという言葉においては
「よく説明すること、説明責任を果すこと」というニュアンスが強くなっています。


さて。

先日髪を切りました。

シャンプーの前に美容師さんと
今日はどういう風にするかを簡単に相談。
その後、カット。

カット中も美容師さんは
「前髪の厚さはどうしますか?」とか
「横の長さどうします?」とか
細かく確認してくれます。
一通りのカットが終わると鏡で確認し、一度髪を流してからスタイリング。

うーん、何か違う。
なんだか髪の毛が揃っていてかわいらしすぎる。
表参道あたりを歩いているかわいげでお洒落な感じの男の子なら似合いそうだけど
生憎こちとらモッサリ系。
普段はスタイリング後に修正をお願いしたりしないのですが
この時ばかりはお願いしてしまいました。
修正後多少よくなってカット終了。

それでもなんだかしっくりこないまま
うちに帰って髪の毛を切ったことを奥さんに伝えると、奥さんが一言。
「なんだかかわいいね。キノコみたい。」

その夜僕は布団の中で泣いたんだ。


そんなこともあって今日、普段は滅多にしないのですが
一度切った髪を再度手直ししてもらいに行ってきました。

美容院に再度行くかどうかは相当迷ったのですが
やはり髪の毛が気に入らないと気分も上がらないので。。。

美容師さんに自分の考えをはっきり伝えて、よくよく話をしてみると
「今回はボブっぽくするために全体の長さを長めに残したけど
普段はもう少し短い毛を作ってショートベースにしているので
そこの違いが違和感を感じさせるのかもしれませんね。」とのこと。
短い毛も作ってもらったところ、すごくしっくり来ました。

素人としては「横は長めで」とか「少し動きが出るように」とか「全体的に髪の量を減らして」とか
そういうレベルのことしかわからないし口にも出せないのですが
美容師さん的にはどこをどう切ったらどうなるか、全体像を参照しながら
色々なバランスも考えつつ切っているんでしょう。

先日も含めいつも美容師さんは逐一説明、確認しながらカットしてくれているのですが
「どこをどれくらい切ると全体の印象がどうなるか」というのは
僕には全然イメージがつかない。

これは美容師さんの説明が不足しているからではなく
美容師さんと僕の背景的な基礎知識に大きなギャップがあるからなのでしょう。


さて、今回のことを通して僕が感じたのは、
インフォームド・コンセントを得ることの難しさ、
そしてこういう時にモノを言うのは
「美容師さんを信頼できるか」と「事後対応の丁寧さ」なんだなあということ。

信頼できなければとっとと別の美容室に移ってしまいますし
事後対応がイマイチならクレーマーに転ずる可能性も(^^;

今回の件での美容師さんの対応は誠実そのもので
むしろ僕は信頼感を強くしました。

世の中には「事後対応」では済まされないことも多々あるのでしょうが
それでもしっかり対応するに越したことはありません。

インフォームド・コンセント
事前の信頼関係の構築と事後の適切な対応を含めた
「プロセス」なんだなあと痛感した出来事でした。