装飾とステッカーチューン

発売中のBRUTUS CASA EXTRA ISSUEに載っていた
漫画コラムに惹かれました。

内容は
世界の歴史建造物を見ると(ex.サグラダファミリア
信仰心の強さと建築物の装飾性の高さは比例していることがわかる。
翻って現代の日本人の若者の多くは無宗教であり
信じられるものは自分しかいないと思っている。
そのため彼らはネイルアートやデコレーション携帯などの装飾に走る。
といったものでした。

軽妙な漫画コラムなのに鋭いなあと思いました
(若者のここらへんの心理については速水俊彦著「他人を見下す若者達」がおすすめです)。

上記の指摘にも見られるように
「装飾」=「自分の中の何か(信仰心や信念、趣味・嗜好)を表現する行為」
という認識は一面的ではありますが
切り口としては間違っていないように思います。

服を着ることも自己装飾だと捉えることが出来るでしょう。
携帯電話に関しては「ほぼ常に携帯するもの」であり
コミュニケーションツールとして「社会につながるための道具」でもあるわけですから
社会にコミットする主体としての自己に直結するものであり
デコレーション携帯が流行するのも至極当然なように思えます。


さて、一口に装飾と言っても色々ありますが
比較的とっつきやすいのがステッカーチューンではないでしょうか。

ステッカーチューンというと
やたらステッカーが貼られた走り屋っぽい車や
ミュージシャンのギターなんかが連想されます。

以下、僕が興味を持ったステッカーチューンをいくつかご紹介したいと思います。

まずはやはり、マルジェラ。
イメージ 1

写真は0405awにアーティザナルラインからリリースされたトランクです。
ビンテージのトランクに航空会社のステッカー(たしか)が沢山貼ってありました。
グローブトロッターという感じで格好良かったです。
が、できれば実際に旅行して自分のトランクにステッカーを貼っていきたいところです。

次にスタイリスト熊谷隆志さんが以前乗っていたというジャガーXJ-S。
イメージ 2

映画12 MONKEYSに登場するステッカーだらけのジャガーに影響されて
ステッカーを貼り始めたとか
(残念ながら12 MONKEYSのジャガーは見つけられず。。。)。
普通の車がステッカーチューンされていてもさして驚きはしませんが
ジャガーに貼るとは。。。
どうせならもっと貼り続けていって欲しかったのですが
最近は環境に配慮してプリウスに買い換えられたようです。
残念。

続いて会津さざえ堂。
イメージ 3

お堂の構造自体、木造の二重螺旋構造になっていてとても面白いのですが
内装もすごい。
参詣者の名前のお札がところ狭しと貼られています。
お堂の装飾自体を目的とするものではないのでしょうが
装飾としての機能も充分に果たしていると思います。

最後に直接載せるのはどうかと思ったので控えますが
こんなものもあるようです↓
http://www.asyura2.com/07/test13/msg/472.html

ステッカーチューンに限られるので多分に恣意的ではありますが
以上のものを見てみると、冒頭の
「装飾」=「自分の中の何か(信仰心や信念、趣味嗜好)を表現する行為」
という図式はやはり幾許かの真実を含んでいるように思えてきます。

ちなみに僕は大学2年くらいまでは
自分の携帯にステッカーを貼って
ガンダム(より正確にはシャア専用ゲルググ)のフィギュア付きストラップを付けていました(汗)が
最近はステッカーもストラップもなしのデフォルトのままになっています。
色々選ぶのが面倒くさいというのもありますが
なんだかそれが一番格好いいような気がするからです。
服もシンプルになってきていますし
そういう趣味嗜好なのだと思います。


以下、余談です。
以前僕は、「プリミティブな社会のタトゥーは魂の地図ではないか」という言葉を紹介しました。
過去の記事へのリンクはこちら↓
http://blogs.yahoo.co.jp/margielamarni/18042873.html
日本社会に目を向けると、江戸時代以降に見られる「ほりもの」は
義侠や心意気の象徴としての動物や神仏のイメージの借用という側面があるようなので
たましいの地図というよりは
ステッカーチューン(剥がせませんが)に近いものがあるのかもしれません。