完璧な服

ステファン・シュナイダーは言いました。

僕はある意味「不完全」なモノを作る。
もしパーフェクトな洋服が出来てしまったらそれは「退屈」な単なる布切れにしかすぎない。


それはきっとそうなのだろうと思います。


服単体はあくまでも不完全で
そこに「服を着る人」や「服を着るシチュエーション」が加えられるからこそ
服は面白い。


何かの雑誌で見かけた
ボディに着せ付けられたエディ・スリマンデザインのタキシードジャケットは
完璧に美しかった。

でもそれを誰かが着た時
その服はまだ完璧な存在でいられるでしょうか。

そしてそれを着てその人が家を出たとき、
その服はその状況の中でまだ完璧な美を湛えることができるでしょうか。


安野モヨ子はヴィヴィアン好きの若者たちに言いました。

(全身ヴィヴィアンの人たちは)個人のファッションとしては完璧だけど
普通の街並みを背景にすると超浮いてる。


服はそれ自体で完璧なものより
人が日常の中で着た時に美しいものであって欲しい
日常に調和しつつ適度なスパイスとなるものであって欲しい。


そしてそこに様々な思い出やエピソードが加わればその服は僕にとって
完璧な服です。